Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
疾如レ風徐如レ林。侵
掠如レ火。不レ動如レ山
それはまた信玄がふかく心契していた道の師、恵林寺の快川和尚が筆になるものとは、どんな者でも知っていた。
(ああ、あのお旗の霊は、躑躅ヶ崎が館を捨てて行く、きょうのお引き移りを、何とも惜しんでいないだろうか)
甲府の領民は、誰もがそんな哀愁に似た感じを抱いた。そしてこの孫子之旗や十三字旗が、ここを立っては川中島へ赴き、その帰るごとに、帰って来た勇士たちも領民も、同じ感激と涙と嗄れるばかりの喊声で、迎え合い答え合った永禄前後の頃が、今は、何となく恋しく振りかえられた。
そして確かに、同じ物にはちがいないが、その頃の孫子之旗と、きょう見る孫子之旗とは、べつな物のような気がしてならなかった。
しかしまた、それらの一族門葉の車駕金鞍と共に、韮崎新府へ移されて行く夥しい重器珍宝、軍需の資材などが、蜿蜒何里のあいだ、牛車や車輌の列になって流れ行くのを見ると、
「甲州はまだ強国だ」
と、意を強うせずにいられなかった。信玄以来の自負心だけは、将士はもとより領下の者にまであった。
そうして、引き移ってからまだ間もない新府の城であったが、二月の声を聞くと、ここには古くからある白梅や紅梅がもう綻びかけ、勝頼は今も、叔父の武田逍遥軒と共に、奥の丸からその梅林のあいだを縫いながら、鶯の声をよそ