Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
と、なぐさめた。
惣蔵はつかつかと起って行って、上たちの中にいるわが妻の側へ寄った。突然、そこで「きゃッ」と魂切る児のさけびがしたので、勝頼が、遠くから、
「惣蔵、逆上せしか」
と、激しく叱った。
惣蔵の妻も、声をあげて泣いている。彼は、五ツになるわが子を妻の眼前で刺し殺したのであった。血刀も収めず、惣蔵は遠くから勝頼のすがたへひれ伏して、
「おなさけないお叱りです。ただ今申しあげた言葉の証に、まず、足手まといのわが子から先に、死出の道へ立たせてやったまでのこと。いずれ惣蔵も、わが君のお供して参りまする。先といい、後というも、わずか一刻……」
のこりなく
ちるべき春のくれなれど
さきだつはなを
あはれとも見つ
面を袖に蔽うて、あわれと泣きしずみながら、勝頼夫人が口誦さむと、侍女のうちのひとりが、同じように咽びながら、
咲くときは
数にも入らぬ花ながら
ちるには洩れぬ春のくれかな
と、詠んだ。そして声の終るのと共にはや幾人かは、懐剣を抜いて、われとわが手に、乳を刺し、喉を突いて、流るる血のなかに黒髪を浸された。
びゅうん――
矢唸りが近くをかすめた。
ぶすッ、ぶすッ、と辺りの土が刎ねて掘れる。