Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
しかし、またふと、淋しくもあった。
なぜならば、
(所詮、根治するとまでは、おうけあいいたしかねる)
と、これはいつか、そっと医者から戒告されていたことばである。
何かにつけて、それがすぐ胸をかすめるからであった。
けれど彼女は、ひとりこうきめている。――不治の病と医者にいわれながらも癒ったひとの例はいくらでもある。自分の真心と、不断の看護をもって、きっとこの兄を、もういちど健康にしてみせる。
いまは、そもじの御つとめ、それ唯ひとつと、丹精くれぐれたのみ入候
とは、ついきのうも、播磨の陣から彼女の許へ来た消息に見える秀吉のことばだった。
「お兄上さま。このぶんで御快方にむかえば、さくらの咲く頃には、きっとお床上げができましょう」
「ゆう……」
「はい」
「心労をかけたな。おまえにも」
「なんの……。またにわかに改まって、お兄上さまが、何を仰っしゃるかと思えば」
「は、は、は」
病者の笑いには力がない。半兵衛は愛しげな眼を凝らして、
「兄妹であるがために、却って日ごろは、ありがたいということばすらいったためしはないが、何か、改まって、今朝は礼を云いたくなった。……これも気分がよいせいであろう」