Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate
た。
「大高表から、ただ今、お飛脚でございます。……はいッ、早馬の御急使が、これなる御書状を、お館様へ即刻お取次あるように申されまして」
廊下仕切の杉戸の外でする声であった。
その取次の僧に対して、何かいっているのは、出入りを見張っていた側衆の人々であろう。
森閑とした禅房の奥なので、芭蕉にかくれている中庭の向うの広書院まで、この声はよく届いて来るのだった。
「何、大高表から飛脚と……」
評議の座は、みな口を噤んで、ひとしく聞き耳をたてた。――折も折、心もとないと思ったらしく、義元は、
「元康。立ってみい」
と、頤を末席に向けた。
「……はッ」
静かに、席のすそから、元康は廊下へ出て行った。
たとえ何者でも、どんな用事を帯びた者でも、評議中は、杉戸から一歩もはいってはならぬと厳命してあるので、元康がそこへゆくまで、取次の僧も見張番の近衆たちも、杉戸の外でまだ応答を繰り返しているだけだった。
「なにか」
元康の顔を見ると、
「はい、実はただ今、これなる御書面を携えた急使が、大高表から夜を日についで馳せつけたとの由で……」
近衆も、僧も、両手をつかえながら、飛脚状をさし出した。