Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate

Aozora Bunko

その母をしていじらしい気がね遠慮や恥はかかせたくない。藤吉郎は、そんなことも思ったりして、

「もう一、二年のうちには」

と、ひとり呟きながら、行水の湯盥に浸って、こよいは特別丹念に、黒い襟首など洗っていた。

行水を浴び、浴衣になって家の内へもどってみると、もう家じゅうは人でいっぱいの混雑である。自分の家か他人の家かわからない。何を忙しがっているのか、あれよこれよと、座敷も台所もひとつに眼を廻している。藤吉郎はしばし部屋の隅で蚊を追いながら、他人事のように傍観していた。

「聟さまの、懐紙や持物は、みなお衣裳のうえに添えて置きなされや」

「添えておきました。お扇子も、印籠も」

かん高い声でいいつける。合点する。駈けまわる。

どこの女房か。

どこのお内儀か。

どこの主人か。

そう深い縁者でもないのが、みな親類以上、親身になって働いてくれる。お聟さま、お聟さまの声で、家も外も、持ちきっているのである。

「あ……お城普請の折の大工棟梁あばたも手伝いに見えておるな。左官の女房もやって来ておる。……炭薪奉行の頃から親しい、山の者も村の者も。……何ぞといえば忘れずに皆」