Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
「姐さんまでそれだからな」寒笑は茶碗を下に置いて、こんどはひどくまじめな顔になった、「冗談はぬきにして、いったい世間の人は小説をなんだと思っているかしらん、小説とは小きに説くといって、論語や孝経なんというむずかしい理屈を、老幼児女にわかりよく解いて知らせるものですぜ、波瀾重畳、恋あり、闘争あり悪人善人相剋して筋をなす、面白おかしく読んでいくうちに善を勧め悪を懲らすという、人道の正しきところを教えるりっぱな読み物なんだ、さっき云った字ばかり読むのは素人だというのはつまりそこさ、筋ばかり読んで作者の本意を察しない者が小説をいちがいに不道徳だなんていう、つまり経を誦して仏を識らざるのたぐいだ」
「それあ良い小説はそうだろうがね、口で云うのと本になったのと別々じゃしようがないよ」
「おっと、そう仰しゃるが作者だって人間でげすからね、はじめっから聖人のような作はできませんッ」
「だったら聖人になってから、いいえ聖人の万分の一ぐらいでもいい、ちょっとはましな人間になってから書いて貰うんだね、この激しい御時勢にのんきな色恋ばかり書いて、それで口だけいっぱしじゃあ世間さまに済まないよ」