Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
ならぬ、と云うのは、仮に幕府が大政を奉還することを考えてみたまえ」
「……なんだって」
「仮にだ、仮にそう考えたとき、どんな状態が起こると思う」秀之進の面へ血がのぼった、「もし大政を奉還するとすれば、幕府の伝統は変ったかたちで遺ると思わないか、水戸学の真髄がどうであるかはよく知らない、しかし義公以来の尊王至上論は隠れもない事実だ、ただ惧れるのはそれが絶対論でないところにある、そしてそれは水戸に限らず、現在諸藩のありさまが大概そうだ、機運が動きつつあるというのは、この比例の変化をさしているにすぎない、だから、この差が拡大してゆけば、幕府が大政奉還に向うことは全くあり得ないことではないと思う、そしてそれが実現した暁には政治のかたちが変るだけで、伝統の封建的観念は死なずに遺るだろう、なぜかなら、徳川氏の存在はかえって動かぬものとなるだろうから」
「それはおかしいじゃないか、政治を奉還することは幕府の消滅だと思うが」
「だが征夷大将軍の位は政治と無関係に存在するよ、つまり大政は奉還するが兵馬の権は放さぬ、しかも大政を奉還することによって幕府は大義名分をたて、みずから朝廷守護の位置に任ずることもできるのだ」