Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
その時代の風潮としては、側女とか庶子などに道徳的な責任を感じなくても異例ではなかった、客観的にみれば余りに多く有触れたことであった。然し受け身な立場にある者は、風潮に託して恬然としている訳にはいかない、自分が正当な結婚に依らずして生れたという自覚には、時代と身分の如何に拘らず絶望感が伴う、ものごとを正面から見るまえに、裏側を考えるという性癖がつく。……秀之進の性格の柱となっているものがそれである、自分の出生を支配したものが不徳義であったと知ってから、彼は世の中にも人間にも絶望と嘲笑だけしか感じられなくなった。みんな道化芝居だ、そういう軽侮の心が彼の観念を占めていた。けれどもこんど水戸に使いするに当って初めて父と会い、深夜の廊下で「ゆるせ」という父の囁きを聞いたとき、また竹隈で東湖の小四郎に対する自責の深さを見たとき、彼は自分の絶望や苦悩が一方的なものでなかったということを知ったのである。
秀之進にとってこの事実は軽くない意味をもった。観念や理想をかたちづくるものは常に第一義では有り得ない。個人の環境と生活、瑣末な家常茶飯のあり方にその根がある。彼は二人の父が人間的に苦しんでいる事実を知ったところから、はじめて「生きるちから」