Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
娘はお信さんと云って、お天気のいい日は千葉から木更津にかけて魚の干物の行商に歩くのだそうである。店で茶をすすりながら、老夫婦にお信さんと雑談をしていると、水色の蟹が敷居の上をゴソゴソ這って行く。生活に疲れ切った私は、石ころのように動かないこの人達の生活を見ていると、何となく羨ましくなって来る。風が出たのか、雨戸が難破船のようにゆれて、チエホフの小説にでもありそうな古風な浜辺の宿なり。十一月にはいると、このへんではもう足の裏がつめたい。
(十一月×日)
富士を見た
富士山を見た
赤い雪でも降らねば
富士をいい山だと賞めるには当らない
あんな山なんかに負けてなるものか
汽車の窓から何度も思った回想
尖った山の心は
私の破れた生活を脅かし
私の眼を寒々と見下ろす。
富士を見た
富士山を見た
烏よ
あの山の尾根から頂上へと飛び越えて行け
真紅な口でひとつ嘲笑ってやれ
風よ!
富士は雪の大悲殿だ
ビュン、ビュン吹きまくれ
富士山は日本のイメージイだ
スフィンクスだ
夢の濃いノスタルジヤだ
魔の住む大悲殿だ。
富士を見ろ
富士山を見ろ
北斎の描いたかつてのお前の姿の中に
若々しいお前の火花を見たけれど
今は老い朽ちた土まんじゅう