Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほしのくんのにるいだ

新版・星野くんの二塁打

吉田 甲子太郎

Leggi 新版・星野くんの二塁打 (ほしのくんのにるいだ) di 吉田 甲子太郎 (よしだきねたろう) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 10.945 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

三

三

路地のおくの、またそのおくの、あぶなっかしい三げん長屋の一けんが光吉の家だった。

光吉は、学校にいたときのままのやぶれズボンのひざをだいて、くったくそうに壁によりかかっていた。母は、晩めしのときに使ったばかりのちゃぶ台をすえて、内職のハンケチのへりかがりに余念もなかった。

家じゅうにたったひとつの十六燭の電燈が、親子のすがたをぼんやり照らしていた。

かれらは、一家の心棒になる主人を持たない、気のどくな人たちだった。

「いいのかい、勉強は?」

母が仕事の手をとめずにきいた。

「うん、ぜんぶ、考査すんだんだ。あさって通信簿ですよ。」

「ああ、そうなのかい。」

母は顔をあげて光吉のほうをちょっと見たが、またそのまませっせと仕事をつづけた。

まるでじかに霜が肩の上におりてくるような寒い晩だった。

母はときどき手のひらに息をはきかけては仕事をすすめていった。静かだ。遠く線路を走ってゆく貨物列車のとどろきが、壁をゆすぶるようにはっきり聞こえてくる。

光吉がふうっと長いため息をついた。

「おまえ、なにか心配なことでもあるのかい。変に元気がないね。」

母は、わざと子どもの顔を見ないで、きいた。