Classici giapponesi con furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Leggi 日本の怪談(二) (かにのかい) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 80.664 caratteri · 171 schermate
地獄の使
昼飯がすむと、老婆は裏の藪から野菊や紫苑などを一束折って来た。お爺さんはこの間亡くなったばかりで、寺の墓地になった小松の下の土饅頭には、まだ鍬目が崩れずに立っていた。
老婆はその花束を裏の縁側へ置いて、やっとこしょと上へ昇り、他処往きの布子に着更え、幅を狭く絎けた黒繻子の帯を結びながら出て来たところで、人の跫音がした。表門の方から来て家の横を廻って来る静な跫音であった。
「話が長くなるとお墓参りがおくれるがなあ」
老婆は気がねのいる人が来たではないか、と思ってちょっと困った。家の隅になった赤い実の見える柿の木の下へ、嬰児を負った婦が来た。それは孫女であった。
「ああ、お前か、私はまた何人かと思ったよ」
孫女は隻手に手籠を持っていた。彼女は老婆と顔を見あわすと、にっと口元で笑ったが、老婆の着更をしているのを見ると、
「お墓参り」
老婆はもう縁側に出ていた。
「昨日も一昨日も、雨で往かれざったから、今日は往こうと思ってな」
と云って、孫女の背に負っている嬰児を見たが、嬰児は睡っていた。
「おお、おお、睡っているな、可愛い可愛い顔をして」
「今、睡ったばかりよ」