Classici giapponesi con furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Leggi 日本の怪談(二) (かにのかい) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 80.664 caratteri · 171 schermate
女は厭と云った後の男の怒が恐ろしかった。それに死んだ女房の姿を見にわざわざ江戸から来る程の人だから、悪い薄情な男でもないと云うような考えもぼんやり浮んだ。
「どうだ厭かな」と、小八はあっさりと云った。
「……厭じゃありませんけれども……」女はどうとも決心がつかないので返事ができなかった。
「厭でなけりゃ、これから二人で宿へも知らさないで逃げようじゃないか、宿だって、背後暗いことがあるから、追っかけて来ないだろう」
女はまだ考えていた。
「案内人が迎えに来ないうちに、逃げようじゃないか」と小八は女の手をぐっと握った。
三
亡者宿の案内者は、日の出になったので客を迎いに往ったが、どうしたことか客の姿は見えなかった。不審に思って帰って来て主翁に話をすると、主翁はまた山に精しい者を二人ばかりやって、地獄池のある谷間を隈なく探さしたが、二人の者も見当らないと云って帰って来た。それでは何かまちがいがあったかも知れないと云って、亡者になる人達を置いてある家へ人をやって、亡者になった女を呼ばしたが、その女も家を出たきりで帰らないと云った。いよいよまちがいが出来たに相違ないので、今度は主翁も出て六七人で手を分って谷から谷にかけて探した。