Classici giapponesi con furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Leggi 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.092 caratteri · 45 schermate
この鸚鵡のみは、いかにしてかあの姉君を憎めるがこぼれ幸いにて、いまも飼われ侍り。さならずや」と鸚鵡のかたへ首さしいだしていうに、姉君憎むちょう鳥は、まがりたる嘴を開きて、「さならずや、さならずや」と繰り返しぬ。
このひまにメエルハイムはイイダひめのかたわらに居寄りて、なにごとをかこい求むれど、渋りてうけひかざりしに、伯爵夫人も言葉を添えたもうと見えしが、姫つと立ちて「ピヤノ」にむかいぬ。下部いそがわしく燭をみぎひだりに立つれば、メエルハイムは「いずれの譜をかまいらすべき」と楽器のかたわらなる小卓にあゆみ寄らんとせしに、イイダ姫「否、譜なくても」とて、おもむろに下す指尖タステンに触れて起すや金石の響き。しらべしげくなりまさるにつれて、あさ霞のごときいろ、姫が臉際にあらわれきつ。ゆるらかに幾尺の水晶の念珠を引くときは、ムルデの河もしばし流れをとどむべく、たちまち迫りて刀槍ひとしく鳴るときは、むかし行旅をおびやかししこの城の遠祖も百年の夢を破られやせん。あわれ、この少女のこころはつねに狭き胸のうちに閉じられて、ことばとなりてあらわるる便なければ、その繊々たる指さきよりほとばしり出ずるにやあらん。