Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かんしゃ

日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)

下川 儀太郎

Leggi 日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一) (かんしゃ) di 下川 儀太郎 (しもかわぎたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1498 caratteri · 4 schermate

Aozora Bunko

感謝

ふところには

びた一文もない

ここへ廻されたことも

誰れも知らないだらう

便りさえ

奪れている身だ

六日間

便器とカビと煤との

あらゆる臭いにむされながら

くさいめしを

無理につめ込んで

煤だらけの真っ黒い天井と

にらめっこして生きた

七日目

ふと、独房までも

つき抜ける声を聞いた

「ここに

Sと云う男がきている筈ですが

この本と金をやって下さい……」

思わず

俺は格子にすがった

Hの声だ

おお、五十里をはるばると

差入れにきた嬉しい仲間よ

それにしても

ここへ送られたことを

誰れが伝えたろうか?

そうだ!

俺達の支持者はどこにもいる

あのとき一緒にいた

チンピラか?

スリか?

酔いどれか?

とまれ

救援会と連絡がついたのだ

明日から退屈なしに生きられるぞ!

めったに

流れぬなみだが

このときばかりはにじみ出た

おおこれが

嬉しなみだと云うのだろう

(発表誌不詳 一九三一年八月戦旗社刊『一九三一年版日本プロレタリア詩集』を底本)