Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.187 caratteri · 24 schermate
梶女は袖口で眼を押えながら暫く声をとぎらせていた、
「父上のご運がひらけて、どうやら不自由のない明け昏れを迎えるようになってから、父上とわたしはおまえをひきとる相談ばかりしていました。松代へ人をやってたずねさせると、ながく病んでいる依田どのと幼ない弟のめんどうをみながら、おまえが糸繰りをして家計をたてているという、貧にせまられて遣ったおまえが、いまは自分でその貧とたたかっている、それを思うとわたしたちはとても安閑と暮してはいられなかった、これまでの苦労を幾らかでも償ってあげなければ生みの親としてどうしても心が済まないのです、依田どのには決して悪いようにはしません、高さん、こちらへ帰ってお呉れ、この西村のむすめになってお呉れ、ねえ」
膝の上にそろえた両の手をかたく握りしめながら、お高は硬ばった顔をじっと俯向けていたが、梶女の言葉が終るとしずかに眼をあげて、
「おぼしめしはよくわかりました、ほんとうに有難う存じますけれど、わたくしやはり松代へ帰らせて頂きます」
抑揚のない声でそう云った。梶女の頬のあたりが微かにひきつった、
「でも依田どのとはもうはなしがついているのです、どちらのためにもこれがいちばんよいと依田どのも云っておいでなのですよ」