Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Leggi 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.678 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

平吉は主婦を負って体を起した。

「あっちよ」

お高の手が眼の前にあった。平吉は主婦の手の指している方へ往かなくてはならなかった。そこは長櫃の並んだ処で、長櫃の前には葛籠が並んでいた。平吉はその間を入って往った。

「ここよ」

「へい」

平吉が停まるとお高はおりた。そこに葛籠の上に寺小屋用の文庫があった。お高はその中に手をやって二三冊の草双紙のようなものを執った。

「それじゃ、帰るのだよ」

「へい」

平吉はまた背を向けた。お高はまた重んもりと負ぶさった。平吉は引返した。そして、蒲団の上に帰ったところで、お高の手にした書物が目の前へ来た。それは極彩色の錦絵であった。

「これ、見えるの」

庭前に這っていた尻尾の切れていた蛇は、楓の木へ登りかけた。平吉を呼びに往っていた定七は縁側へ引返して来て、広栄とともに蛇に注意していた。

「もう、お疲労になったと見える」

広栄は頭を揮った。

「いや、何かおぼしめしがある、そんなもったいないこと」

「へい、これは、どうも」

「そうじゃ」

蛇は上へ上へと登って、やがて微紅い嫩棄に覆われた梢に姿を隠して往った。

「もったいない」

「ほんとに、もったいないことでございます」