Classici giapponesi con furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Leggi 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.678 caratteri · 394 schermate
「それはだめですよ」
「あんたは慾を知らない方ね」
「どうしても、僕はそんなことはできないのです」
「御容色だって、あんなきれいな方はめったにありませんよ、好いじゃありませんか、私の云うことを聞いてくださいよ」
「そいつはどうしてもだめですよ」
年増の女の隻手は讓の隻手にかかった。
「まあ、そんなことはおっしゃらずに、あちらへまいりましょう、私のことを聞いてくださいよ、悪いことはありませんから」
讓は動かなかった。
「だめです、僕はそんなことは厭だ」
「好いじゃありませんか、年よりの云うことを聞くものですよ」
讓はもういらいらして来た。
「だめですよ」
叱りつけるように掴まえられた手を揮り放した。
「あんたは邪見、ねえ」
扉が開いて小さな婆さんがちょこちょこと入って来た。頭髪の真白な魚のような光沢のない眼をしていた。
「どうなったの、お前さん」
「だめだよ、なんと云っても承知しないよ」
「やれやれ、これもまた手数をくうな」
「野狐がついてるから、やっぱりだめだよ」
年増の女は嘲るように云ったが讓の耳にはそんなことは聞えなかった。彼はその女を突きのけるようにして外へ飛びだした。