Classici giapponesi con furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Leggi 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.678 caratteri · 394 schermate
「そうですか」
垣根にはしおり扉があった。道夫はそれを押して入った。庭には石南のような花の咲いた木があった。彼は庭の敷石を伝って縁側へ往った。
「すみません、ちょっと休ましてください」
「さあ、どうぞ、雨でたいへんだったでしょう」
「えらい雨でしたね」
道夫は手にした傘をまず立てかけて斜に腰をかけた。腰をかけながら室の中へやるともなしにやった眼に、島田の髷をかしげるようにして坐っている壮い女の白い隻頬を見た。それは年増の云った令嬢でなくてはならぬ。
「あなたは、お酒をあがってらっしゃるでしょう」
年増は水みずした眼を見せた。
「そうです」
「お酒がお好き」
道夫は微笑した。
「すこし飲みます」
「では、お酒をあげましょうか」
なんぼなんでも酒を飲ましてくれとは云えなかった。
「どうか、水を一ぱいください」
「水もあげますが、お酒もあげましょうよ」
年増はもう起って縁側を左の方へするすると往ってしまった。道夫はちょっと困ったが、もともと物に拘泥しない質であるから、すぐそんな心づかいなどは忘れて室の中へ眼をやった。それは島田髷の壮い女の顔をはっきり見たいがためであった。