Classici giapponesi con furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Leggi 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.678 caratteri · 394 schermate
道夫は苦笑した。
「そうでもないのです」
「今晩はどこであがっていらっしゃいました」
「友人の下宿で昼間から飲んでましたが、ビールとウイスキーで、帰りに日本酒を飲みたかったのですが」
うっかり云ってつまらんことを云ったものだと気が注いた。
「飲みたかったが、どうなさいましたの」
女の笑い声がした。
「金がなかったから、下宿へ帰って飲むつもりで帰ってたところですよ」
「そう、ほんとにお好きねえ、それじゃうんといただいてくださいましよ、お酒はどっさりありますから」
年増はもう起って往った。道夫はちらちらする眼で絵のようにそれを見ていた。
「よくつきました」
年増は後の銚子を持って来ていた。
「どうも、これは」
道夫はまたその銚子に手をかけた。
「そんなにおいしゅうございますの」
「旨いですよ」
「わたしも、お酒がいただけるなら、いいと思うことがあるのですよ」
「酒は飲まないのですか」
「一滴もいただけないですよ」
「そうですか、ねえ、旨いのですが、ねえ」
年増の佳い姿がはっきり道夫の眼に見えた。それは勝浦の旅館で知りあった婢にそっくりの好ましい姿であった。
「おあがりなさいましよ、お嬢さんが淋しがっておりますから、おあがりになって、ゆっくりなすってくださいましよ、それとも待ってらっしゃる方がおありなさいますの」