Classici giapponesi con furigana
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にほんばしふきん
日本橋附近
田山 花袋
Leggi 日本橋附近 (にほんばしふきん) di 田山 花袋 (たやまかたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.383 caratteri · 37 schermate
七
そして長い間の人間の努力を一炬の下に焼き尽してしまった。あの橋が鉄筋であったがために焼け落ちなかったのは、せめてもの見つけものといわねばならぬ。
朝なり――影は色めきて
かくて日もさせ、にごり川――
朝なり、なべてかゞやきぬ
市場の河岸の並蔵の
その白壁も――わが胸も。
今はすでになくなってしまっていても、その並蔵の朝の白壁のさまがまだその詩の中に不滅に残されてあるということは、われ等の心を喜ばせずには置かなかった。私は再びその詩を声高く吟じて見た。
七
いつかNとこんな話をした。
『君、あそこいらが夜にさえなると真暗になった時代があるんだからね。それを考えると不思議な気がするね』
『本当ですね……』
『そしてそれがあまり遠くないことなんだからな……。つい六、七十年前まではそうだったんだからな……。たしかピエル・ロチだったと思うが、あの汽車のない時分に、車で日光にはるばる出かけて行ったと思い給え。そしてあそこでさびしい夜に逢ったと思い給え。かれはさもさも驚いたように、世界にもまだこんなところがあるかというように、日が暮れさえすれば真暗な都会、ともしび一つ見えないやみの仏陀の都会――そういう風に一面は驚き、一面はその神秘を讃嘆するように書いてあったが、江戸の大都会だって、やっぱりそうだったんだからね』