Classici giapponesi con furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Leggi 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.787 caratteri · 177 schermate
」
「そやでお眠たらええやないか、重たい重たい。」
子は「いやーや」というと母の肩から辷(すべ)り下(お)りて膝(ひざ)の上へ顔を埋めた。
「あぶないがな、針が刺(ささ)っているやないか。」
母は膝の上の布切(きれ)を前の方へ押しやった。子の頭の頂(いただき)から首条(くびすじ)へかけて片手で撫手下(なでお)ろしながら低い声で、
「ほんとにもうお寝、え。」といった。
「お母さんも寝ないや。」
「人が笑うわ、九つもなってるくせに一人で寝んなんて。」そして母は些(ち)っと黙っていたが、「お前の頭はほんとうにええ格好や。」と呟(つぶや)いた。
母も子も黙っていた。隣家から酒気を含んだ高声(たかごえ)が聞えて来た。子は夕暮前に、井戸傍(いどばた)で隣家の主人が鶏(とり)をつぶしていたのを眼に浮べた。
「お母さん、お隣りのはな、鶏を食べていやはるのや。」と子は母を見上げていった。
「そんな事をいうものやない。」と母はいった。隣家の裏庭の重い障子(しょうじ)の開く音がすると、縁側の処(ところ)へ近所の兼助(かねすけ)という男が赤い顔をして立っていた。
「お里(さと)さん、御馳走(ごっそ)だすぜ、さアお出(い)でやす。