Classici giapponesi con furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Leggi 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.787 caratteri · 177 schermate
と姉は暫(しばら)くして訊いた。
「もういいんだ。」
「降りたら薬屋があるわ。小寺さんなら近いし。痛い?」
小寺さんとは近くの医者の名であった。
「もう癒(なお)ったよ。」と彼はいうと、
「それでも診(み)てもろうておく方がええやないの。」と、今度は姉から彼に医者をすすめ出した。
彼は聞かぬ振りをしてどしどしと山を下った。
三
四月には彼は東京にいた。女の子が生れたという報知(しらせ)を姉の良人(おっと)から受け取ったのは五月であった。
「しめた!」と彼は思った。そして、今まで誰にもいわずに隠(かく)していた不安は、全く馬鹿気たことだったのだと思って可笑(おか)しかった。
「やっと叔父(おじ)さんになったぞ。」
そう思うと彼は文句なしに人間が一段豪(えら)くなったような気がした。
四
六月に末雄は帰省した。彼は姉の家へ着くと直ぐ黙って上ろうとした。が、足が酷く汚れていたので膝(ひざ)で姪(めい)の寝ているらしい奥の間の方へ這(は)い出(だ)した。黄色い坐蒲団(ざぶとん)を円(まる)めたようなものが見えた。
(いるいる。小っぽけな奴だ。