Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Leggi 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.787 caratteri · 177 schermate

Aozora Bunko

そうして、胸を圧えると彼の姿は夜霧の中に消えていった。しかし、間もなく、彼の足音に代って石を打つ木靴の音が聞えて来た。卑弥呼は再び格子の外を見ると、そこには霧の中にひとり王の反耶が立っていた。

「不弥の女、爾は何故に眠らぬか、我は耶馬台の国王の反耶である。」と君長は卑弥呼にいった。

「王よ、耶馬台の石窖は我の宮ではない。」

「爾に石窖を与えた者は我ではない。石窖は旅人の宿、もし爾を傷つけるなら、我は我の部屋を爾のために与えよう。」

「王よ、爾は何故に我が傍に我の夫を置くことを赦さぬか。」

「爾と爾の夫とを裂いた者は我ではない。」

「爾は我の夫を呼べ。夜が明ければ、我は不弥へ帰るであろう。」

「爾の行く日に我は爾に馬を与えよう。爾は爾の好む日まで耶馬台の宮にいよ。」

「王よ、爾は何故に我の滞ることを欲するか。」

「一日滞る爾の姿は、一日耶馬台の宮を美しくするであろう。」

「王よ、我の夫を呼べ。我は彼とともに滞まろう。」

「夜が明ければ、我は爾に爾の夫と、部屋とを与えよう。」

反耶の木靴の音は暫く格子の前で廻っていた。そうして、彼の姿は夜霧の中へ消えていった。洞内の一隅ではひとすじの水の滴りが静かに岩を叩いていた。