Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

「悪い子がいるね、誰がわたしのこと気狂いというた。」

太い声がモッタリといって、こっちを振りかえった。

「あの女の人、黒い汚ない顔だって。」

「フン、黒うても白うなる、白粉つけて美しうなって見せてあげる。――金坊、おッさんに白粉だしてもろうとくれ。」

あたしは怖気だった。気狂いが、白粉をつけだしたりしてどうなるのかと――

丸い手鏡を片手に持って、白粉刷毛でくるくる顔をなでまわしていた曙山さんは、傍らにいるおもよどんや、お金ちゃんを顎でつかって、紅をとれの、墨をかせのと、命令するように押つぶした声で簡単にいいつける。

「その手拭をおよこし。」

鏡台わきの手拭かけにあった白地に市川という字が手拭一ぱいの熨斗の模様になって、莚升と書いてある市川左団次の配り手拭をとらせると、上手に姐さんかぶりにして、すっと立上ると、

「おッさんの寛袍をもっといで。」

と自分の帯をときだした。

あたしはとんでもない事をいってしまったとしょげていたが、廻りの者はゲラゲラと笑って面白がっている。

曙山さんという人は、わざとらしく怒りっぽく、

「お腹がすいとるのに、みな面白そうに笑ってからに、わたしばかりこんなことさせて――おごらんかったら怒る。