Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate
荻野六郎は、それで飯櫃へやったのだなと、フ、とも、ウともつかないフウーという笑らいをうなった。用心のいい祖母は、他家へ火事見舞に、握飯ごと入れておくる新しい大きな飯櫃をつくらせておくのだった。それが、蔵の三階の棚にあるのを、勝手を知った彼はよく知っていた。
「だが、売ったのはしどいな。」
そうはいったが、彼もそのほかの所置はおもいつかなかった。
「なるほど、孫子の代まで、古道具屋の新らしい飯櫃は買うなと申しつけます。」
彼は笑い笑い頭をさげた。
世の中の物騒な時分、祖父母夫婦は奥蔵の二階に寝ていた。ある夜押込みがはいって、祖父の頬っぺたを白刃で叩いて起した。祖母は小さな声でみんな出してやれといった。祖父は階下におりて金函の前にすわったが、手が顫えて手燭へなかなか火がつかなかった。
祖母はその間に厠へゆくふりをして、すっかり家中を見てきた。外に見張が一人いるのが蔵の二階の窓から月の光りで見えた。祖母がすっかりすましてきても、金箱の鍵があかないで、祖父は盗人におどしつけられていた。
だが、祖父は祖母を信頼している。早く出してやれといったが――祖父は頭の上の、階下から荷物をあげおろしするためにつくってある簾の子に、階下の様子を覗いている祖母の眼を感じた。