Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.663 caratteri · 97 schermate
「お菊さんは家を出るときには頭巾をかぶっていたのかね」
「ええ、藤色縮緬の……」
この返事は半七を少し失望させた。それから何か紛失物でもあったのかと訊くと、お竹は別にそんなことも無いようだと云った。なにしろ、ほんの僅かの間で、おかみさんが奥の八畳の居間に坐っていると、襖が細目に明いたらしいので、何ごころなく振り向くと、かの黄八丈の綿入れに藤色の頭巾をかぶった娘の姿がちらりと見えた。驚きと喜びとで思わず声をかけると、襖はふたたび音もなしに閉じられた。娘はどこかへ消えてしまったのである。もしや何処かで非業の最期を遂げて、その魂が自分の生まれた家へ迷って帰ったのかとも思われるが、彼女は確かに格子をあけてはいって来た。しかも生きている者の証拠として、泥の付いた下駄を格子のなかへ遺して行った。
「一昨日浅草へ行った時に、娘はどこかで清さんに逢やあしなかったか」と、半七はまた訊いた。
「いいえ」
「隠しちゃあいけねえ。おめえの顔にちゃんと書いてある。娘と番頭は前から打ち合わせがしてあって、奥山の茶屋か何かで逢ったろう。どうだ」
お竹は隠し切れないでとうとう白状した。