Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.744 caratteri · 434 schermate
十月朔日の朝である。けさは急に冬らしい風が吹き出したと云っているところへ、松吉が息を切って駈け込んで来た。
「親分。おころという市子が殺されました」
四
松吉の報告によると、おころの死体はけさの六ツ半(午前七時)頃に、近所の人々に発見された。但し谷中の自宅に死んでいたのではなく、かの団子坂下の空地に倒れていたのである。
その死体は古祠の前に横たわっていたが、よほど激しい格闘を演じたらしく、彼女は髪をふり乱し、着物の胸をはだけて、かた手に白い幣束を持ちながら、仰向けに倒れていた。彼女はその顔をめちゃめちゃに掻きむしられた上に、喉を絞められていたのであるが、その死因が頗る怪しかった。喉を紋められたというよりも、三枚の長い鋭い爪で頸の左右を強く刺されたような形で、爪のあとが皮肉のなかに深く喰い込んでいた。鋭い爪に脈を破られたと見えて、頸のあたりから流れ出した血汐が枯草を紅く染めていた。
死に場所といい、その死にざまの怪しいのを見て、狐使いの彼女が狐に殺されたのであろうと、近所の者はおどろき恐れた。彼女は狐を夫にしていたが、近ごろほかに情夫をこしらえた為に、狐が怒って彼女を殺したのであると、まことしやかに云い触らす者もあった。