Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 217.272 caratteri · 434 schermate
その不安に絶えずおびやかされている矢さきへ、測らずも今夜のような怪しい女に襲われて、お徳はいよいよその魂をおののかせた。夫が帰ったならばすぐにこの話をして聞かせて、今夜かぎりに夜釣りを止めさせなければならないと思いながら、再び長火鉢の前に坐りかけると、檐の雨だれの音がときどきに聞え始めた。又ふり出したのかと耳をかたむけると、雨の音はだんだんに強くなるらしい。それが今夜のお徳に取り分けて侘しくきこえて、洗いざらしの単衣の襟がなんだか薄ら寒く感じられた。かぜでも引いたのかと、肩をすくめて身ぶるいする時、表の戸を軽くたたく音がきこえた。亭主が帰って来たのだろうと思いながら、さっきの女客におびえているお徳はすぐに起つのを躊躇していると、外では焦れるように小声で呼んだ。
「おい。もう寝たのか」
それが夫の声であると知って、お徳は先ず安心した。
「おまえさんかえ」
「むむ、おれだ、おれだ。早くあけてくれ」と、外では小声で口早に云った。
お徳は急いで表の戸をあけると、竹の子笠をかぶった藤吉がずぶ濡れになってはいって来た。かれは手になんにも持っていなかった。
「釣り道具は……」