Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 217.272 caratteri · 434 schermate
「まあ、少し休んで行こう」と、母のおきぬは云い出した。彼女は少しく人ごみに酔ったらしいのである。
混雑のなかを潜って、四人はひとまず淡島の社あたりへ出た。こことても相当に混雑しているが、それでも押し合う程のことは無いので、人々はほっとひと息ついて額の汗を拭いている時、突然に女の声がきこえた。
「あ、もし……」
さわがしい中でも、若い女の声が冴えているので、四人の耳をおどろかした。それが何かの注意をあたえるように思われたので、はっと気がついて見返ると、ひとりの男の手が久兵衛のふところから紙入れを引き出そうとしているのであった。こういう場合には珍らしくない巾着切りである。
「ええ、なにをする」
久兵衛はあわてて其の手を捉えようとすると、男はそれを振り払って、掴んでいる紙入れを地面に叩きつけた。
「畜生、おぼえていろ」
彼はそれを注意した女の顔を憎さげに睨んで、そのまま群衆のなかへ姿を隠してしまった。睨まれたのは十七八の若い娘で、別に華やかに化粧をしているのでもないが、その容貌の美しいのが四人の眼をひいた。
「どうも有難うございました」と、久兵衛は彼女に礼を云った。