Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 217.272 caratteri · 434 schermate
「では、やっぱり狐か」
これで鈴ヶ森の怪談がまた一つ殖えたのであった。
二
巳之助の一件から十日ほどの後である。京の織物商人の逢坂屋伝兵衛が手代と下男の三人づれで、鈴ヶ森を通りかかった。本来ならば川崎あたりで泊まって、あしたの朝のうちに江戸入りというのであるが、江戸を前に見て宿を取るには及ぶまい。急いで行けば四ツ(午後十時)過ぎには江戸へはいられると、一行三人は夜道をいとわずに進んで来た。彼らは例の狐の噂などを知らないのと、男三人という強味があるのとで、平気でこの縄手へさしかかると、今夜は陰って暗い宵で、波の音が常よりも物凄くきこえた。
伝兵衛は四十一歳で、これまで二度も京と江戸とのあいだを往復しているので、道中の勝手を知っていた。鈴ヶ森がさびしい所であることも承知していた。ここらに仕置場があるなどと話しながら歩いて来ると、暗いなかに一本の大きい松が見えた。それが彼の睨みの松であることは伝兵衛もさすがに知らなかったが、そこに大きい松があるのを見て、何ごころなく提灯をさし付けた途端に、三人はぎょっとした。そこに奇怪な物のすがたを発見したのである。