Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらしのなか

暴風雨の中

山本 周五郎

Leggi 暴風雨の中 (あらしのなか) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.339 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

五

佐平と同じように、裏から屋根を廻って来たらしい。その娘は佐平と同じ廊下の端から、もっとすばしこくもっと巧みに忍び込んだ。頭からずぶ濡れで、手に櫂を持っていた。その娘は足音をぬすむように、西の端の六帖へ入ったが、歩くにしたがって畳が濡れた。

「おらあ騙すつもりはなかった、一人も騙しゃあしなかった、みんな本気だったんだ」三之助はまた眼をつむった、「どの一人とも本気でいっしょになった、けれどもみんないけなかった、いっしょになって暫くすると、どうしても別れずにはいられなくなるんだ」

「飽きがくるからよ、すぐ女に飽きがくる、そして古草鞋のように棄てちまうんだ」

「そうじゃあねえ、違うんだ」

「知ってるぞ」男がどなった、「あの娘もひっかけるつもりだったんだろう、てめえがさっき云った船七の娘、おしげというあの娘もよ」

三之助は首を振った。隣りの部屋でがらがらと音がした。積んである家具のなにかが、家の震動で崩れたような音であった。

五

「そうだ、少しわかってきた」三之助はふと眼をあいた、「おしげのことを云われたんで、自分にもよくわからなかったことが、わかってきた」

「こじつけたって底は割れてるぞ」