Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
村役人の大切な一つの役目として、こういう男の手の欠乏を捜しまわり、絶えてしまう家を少なくし、村の戸数の減退を防ぐことが命令せられたのである。しかし大体からいうと、身分ちがいとか家風の相違などで、こういう外部からの補強は常には望み難く、次第に女あるじや後家暮しの、水田の経営に向かぬ家が多くなってきた。一方に資力を蓄積した家だけは、田地があれば堂々たる分家を出し、町が近ければ店を作って与え、才能のある子には医者僧侶の修業をさせ、または武家志願をさせ、或いは敷銀というものを持たせて、都市の商家へ株取聟入をさせた。そういう条件のすべては具わらぬ者だけが、他村に奉公して有付くか、または年上の後家の所などに、入夫をして辛抱したので、結局は現在の増加している戸口は、大部分近世の優勝者の末ということになり、甚だ悲しむべき事実ではあるが、過去の敗残者の子孫は、もうほとんと生き残ってはいないらしいのである。
是はもとより日本に限った現象でない。またおそらくは人類社会だけを、支配した法則ではないかも知れぬ。貧窮が新たに我々の問題になり始めたのは、言わばこの家の虚弱ということが、個体の健康と同じく注意せられ始めた兆候である。