Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
是は普通の働きのほかに、別にもう三筋だけ余分に、毎日心を籠めた白糸を紡み貯えて置くので、それが老いたる父母のあの世へ着て行く着物になったのである。或いは親々はそれがあまりに嬉しいので、ちょうどその一反の織り上がる頃には、自然に快く死んでしまう気にもなったろうかと思うばかりである。歴代の女たちがわが子のためまたはわが夫のためにも、是は彼に着せる布と、心に念じつつ糸を引いていたことは察するに難くない。そうでなければ大昔神に仕えた清い女が、泉のほとりに忌機殿を建てて、三月二月その中に忌籠りして、神の衣を織っていたという伝説は、これを理解することができぬのである。是と同じような心持は、今でもまだ幽かに田舎には残っている。嫁入する者が男の帯を織って持って行く風は南の方の島にもある。織るとは言っても組紐のようなものだから、持ってあるいて何処ででも織りつづけたかと思う。私も二十何年か前に、日向の或る山村を旅行してそういうのを見た。ちょうど盆の休み日であったが、五軒三軒と人家のある処には娘たちが集まって、手に手に何か白いものを持っている。近づいて見ると幅三寸足らずの、木綿真田紐を組んでいるのであった。