Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
我々の婚礼の日に、白粉をつける婦人だけを待ち女郎とか、または連れ女郎とか謂うのをさえ、悪い聯想を厭うて多くのいわゆる心ある人は、その名を使うまいとしているのである。女性が酒に対する反感の極、その年久しい分配供与の任務を抛擲し、賤しい身分の者の独占に委ねた結果は、今日はまた一段と酒の消費を無節制にしたので、是はまったく世人が歴史の沿革を、省みなかった不幸なる収穫である。酒の供与が或る者の職業になれば、買おうとさえ言えば幾らでも売るのが当り前で、殊に貨幣をもって統一せられた家の世帯は、いつの間にか家刀自の手を離れ、衣食住の配給においては、彼女らはもはや諮詢機関にすらもなっていないのである。国民相互の間の分配の正義が、是ほどやかましく論ぜられている今日、家の中の分配というものは不公平を極め、主人が入るだけの収益をみな飲んでしまう家さえできているのである。よしや今となってはこの権能を恢復することは望まれなくとも、少なくとも以前儼存していた事実だけは明らかにして、是をまだ考える力をもつ男たち、たとえばわが子や年若い弟たちだけにでも、知らせて今一度新たに考えさせることが、刀自たちの任務ではあるまいかと私は思っている。