Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
紅をぼかしたうこん染めの、袷か何かをきょうは着ているというので、もう日数も経っているらしいから、これは不断着の新しい木綿着物であろう。次の附句は是を例の俳諧に変化させて、晴れた或る日の入日の頃に、月も出ていて空がまだ赤く、向こうから来る鑓と鑓持ちとが、その空を背景にくっきりと浮き出したような場面を描いて、「細工に染まる紅うこん」を受けてみたのである。またこれとは正に反対に、同じ恋の句でも寂しい扱い方をしたものが、『比佐古』の亀の甲の章にはある。
薄曇る日はどんみりと霜をれて 乙州
鉢いひ習ふ声の出かぬる 珍碩
染めてうき木綿袷のねずみ色 里東
撰りあまされて寒き明ぼの 探志
この一聯の前の二句は、初心の新発意が冬の日に町に出て托鉢をするのに、まだ馴れないので「はち/\」の声が思い切って出ない。何か仔細の有りそうな、もとは良家の青年らしく、折角染めた木綿の初袷を、色もあろうに鼠色に染めたと、若い身空で仏門に入ったあじきなさを歎じていると、後の附句ではすぐにこれをあの時代の、歌比丘尼の身すぎの哀れさに引移したのである。