Classici giapponesi con furigana
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みかいなふうけい
未開な風景
宮本 百合子
Leggi 未開な風景 (みかいなふうけい) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7478 caratteri · 16 schermate
みのえも今朝は何だか自分がいい匂いなのや、何か別の生物みたいなのを感じたのであった。
「ね、みのえちゃん、私と結婚してくれる?」
結婚という言葉はみのえに漠然と飛躍を期待させ、こわいような、珍しいような正体の解らない感動そのものがいい心持であった。みのえは黙って、黒いお下髪のリボンが動くほど合点をした。
「じゃ約束してくれる?――約束すると他の人と結婚出来なくてもいい?」
みのえはまた合点をした。
いきなり、髭がみのえの頬ぺたを刺した。油井の顔が、みのえの視野一杯にひろがった。彼女は油井の眼が兎の眼のように赤かった気がし、夢中になって彼の胸に自分の顔をつっこんだ。
○
母親が縫物をひろげている。みのえは傍の小机に肱をついてぼんやりしていた。
「明日は土曜日だね」
「…………」
「油井さんまた来るだろうか」
「さあ、知らないわ」
みのえは冷淡さで自分の感情をカムフラージした。
お清はしばらく黙って袖の丸みを縫っていたが、表へかえし、出来上りの形をつけながら独言のように云った。
「あの人も早く奥さん貰えばいいのにさねえ。――もっともどんな気でいるんだか知れやしないが」