Classici giapponesi con furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate
――詳しく話して下さい、とおみきは用心ぶかく云った。その人の云うことは慥かなんですか。
――そいつは大蛇の辰といって、躯ぜんたいに大蛇の刺青のある、博奕打ちなかまでは相当に顔の売れた男ですよ、あっしが御放免になって十日ばかり経った或る日、本所業平のほうのめし屋でひょいと出会ったんでさ、辰あにいはあっしより二十日ばかりまえ、御放免になっていたんです。
辰は珍らしくいいきげんで、久しぶりで飲もうと云い、梯子酒をやって、本所二つ目にある木賃宿でいっしょに泊った。そのとき辰が云いだしたのだ、と幸助は云った。夜なかに辰が幾たびも大きな溜息をつき、寝苦しそうに、あっちこっち寝返りばかりうっているので、いったいどうしたのかと幸助がきいた。
――辰あにいは返辞をしなかった、と幸助という男は云った。それから三日間、あっしたちはいっしょでした、あっしは博奕のことは知らねえので、ただ側で見ているだけだったが、辰あにいの腕のいいのと、顔の売れてるのには吃驚したもんです。
三日めの晩、二人はまた梯子酒をした。博奕をしているあいだ、辰は決して酒を口にしないが、飲みだすとつぶれるまで飲む。