Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

」

あの、なんとか壱岐守というお奉行さまの仰しゃったことは、本当かもしれない。あの人がぐれだしたのも、あたしの愛情がたりなかったのかもしれない。おみきはそう思って眼をつむった。まだ少し残っている酔いと、夜半ということのためかもわからないが、おみきは自分のたりなさを咎め、千太郎を哀れだと思った。夫婦は一心同躰だとか、一命を賭けても励ましいさめるものだとかいう、町奉行の言葉が、いつまでも、しつっこく、耳の奥で叫ばれているように感じられた。

――四五日うちに頼みます、辰あにいの気の変らないうちにね、と幸助という男は抜けた前歯から息の洩れる声で云った。水天宮の脇にある佐野屋ときけばすぐにわかりまさ、あっしの名を云って下さいよ、辰あにいに臍を曲げられるとおじゃんですからね。

五両なんてむりだ、とおみきは思った。たいまいが御禁制になり、それがいつ解けるかわからない。青海亀などという物は手がけたこともなし、それでたいまいに似せた生地などを作るくらいなら、いっそほかの仕事をみつけるほうがいい。残っている五つのたいまいを作り終ったら、御禁制の解けるまで生地作りはやめるつもりでいるし、そのために少しは貯えもある。