Classici giapponesi con furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate
宿屋の多い町並で、前に馬を繋いでいる宿が幾軒かあった。幸助は休みなしに饒舌った、辰あにいはいちど賭場へゆくと、二日や三日は帰らないとか、けれどもひと区切りつけば必ず自分のところへ帰って来るとか、いったさきはおよそ見当がついているから、迎えにいってもいいとか、たっぷり蜜をきかせた甘いような調子で、すらすらと饒舌り、もしよかったら三両の金を持って、呼出しにいってもいいが、と云った。
「そうですか」水天宮の境内へはいってゆきながら、芳造はさりげなく云った、「――おまえさんに見当がつくのなら、あっしもいっしょにゆきましょう、じかに会って、話が本当かどうか慥かめてみたいと思いますからね」
幸助は急に立停って振り向いた、「すると」と彼は反問した、「するとおまえさんは、おれの云うことが信用できねえってのかい」
「あっしはただ、大蛇の辰とかっていう人に会いたいだけですよ」
幸助は横眼で芳造をちらっと見た、「その、三両の金は本当に持って来たんだな」
「ここにありますよ」芳造はふところを押えてみせた。
「いやみなことを云うようだが」幸助は石の大燈籠の脇へ寄りながら云った、「賭場なんてのはしろうと衆のゆくところじゃねえ、これはおいらに任せといてくれるほうがいいと思うんだがな」