Classici giapponesi con furigana
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かれぎくのかげ
枯菊の影
寺田 寅彦
Leggi 枯菊の影 (かれぎくのかげ) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6543 caratteri · 14 schermate
自分は夭死するのだなと思った事はあったが、死が恐ろしくてそう思ったのではない。夭死と云う事が、何だか一種の美しい事のような心持がしたし、またその時考えていた死と云うものは、有が無になるような大事件ではなく、ただ花が散ってその代りに若葉の出るようなほんのちょっとした変り目で、人が死んでも心はそこらの野の花になって咲いているような事を考えていた。こんな心持であったから、多少の病苦はあったにもかかわらず、心は不思議なくらい愉快であった。呑気にあせらずよく養生したためか、あの後はからだが却って前よりは良くなった。そして医者や友達の勧めるがまま運動を始めた。テニスもやった、自転車も稽古した。食物でも肉類などはあまり好きでなかったのが運動をやり出してから、なんでも好きになり、酒もあの頃から少し飲めるようになった。前には人前に出るとじきにはにかんだりしたのが、校友会で下手な独唱を平気でするようになった。なんだか自分の性情にまで、著しい変化の起った事は、自分でもよくわかったし、友達などもそう云っていた。しかし、それはただ表面に現われた性行の変りに過ぎぬので、生れ付き消極的な性質は何処までも変らぬ。