Classici giapponesi con furigana
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ねぎしあんをおとなうき
根岸庵を訪う記
寺田 寅彦
Leggi 根岸庵を訪う記 (ねぎしあんをおとなうき) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4911 caratteri · 10 schermate
後ろへ廻って見ると小さな杉が十本くらいある下に石の観音がころがっている。何々大姉と刻してある。真逆に墓表とは見えずまた墓地でもないのを見るとなんでもこれは其処で情夫に殺された女か何かの供養に立てたのではあるまいかなど凄涼な感に打たれて其処を去り、館の裏手へ廻ると坂の上に三十くらいの女と十歳くらいの女の子とが枯枝を拾うていたからこれに上根岸までの道を聞いたら丁寧に教えてくれた。不折の油画にありそうな女だなど考えながら博物館の横手大猷院尊前と刻した石燈籠の並んだ処を通って行くと下り坂になった。道端に乞食が一人しゃがんで頻りに叩頭いていたが誰れも慈善家でないと見えて鐚一文も奉捨にならなかったのは気の毒であった。これが柴とりの云うた新坂なるべし。が八釜しいまで鳴いているが車の音の聞えぬのは有難いと思うていると上野から出て来た列車が煤煙を吐いて通って行った。三番と掛札した踏切を越えると桜木町で辻に交番所がある。帽子を取って恭しく子規の家を尋ねたが知らぬとの答故少々意外に思うて顔を見詰めた。するとこれが案外親切な巡査で戸籍簿のようなものを引っくり返して小首を傾けながら見ておったが後を見かえって内に昼ねしていた今一人のを呼び起した。