Classici giapponesi con furigana
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つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
Leggi 桜の森の満開の下 (つちのなかからのはなし) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.558 caratteri · 153 schermate
麻油は驚いた。が非力な伊豆をいっぺんに跳ね返すと、あべこべに伊豆の首筋を執えて有無を云わせずに絞めつけた。伊豆はばたばたいて危く悶絶するところまでいった。麻油があまりのあっけなさに呆れながら手を離しても、暫くのうちは仰向けに倒れたまま、尚も締められているように自分一人で※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)いていたが、ようよう立上り、のろのろと向きを変えて、座敷の真ん中で四つん這いになると、やがて白っぽい嘔吐を吐き下した。余程苦しいものと見え、数分の間犬の格好をしたなりに身動きも出来ず、顔一面に泪を溢らせていた。
「なんだい意気地なし。痴川が殺せないもんであたしを殺すことにしたの? 青瓢箪!」
麻油はそう叫んで冷笑した。
伊豆は返事をしなかった。返事も出来ない程苦しいらしく、尚も四つん這いのまま首だけを擡げ、しょんぼりしてりしていた。
「今にみんな殺してしまう」
伊豆はこう言い残すと歩くにも困難な様子で戸口の方へふらついていったが、今度は下駄が探せないらしく、数分間ごそごそして漸く帰っていった。翌朝気付いてみると、麻油の草履や靴を正確に片方ずつ溝へ投げ捨てて帰ったことがわかった。