Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
土手の斜面に横たわる花田の死骸の恰好を、その瞬間宇治は肉眼で見るよりありありと背中で感じ取っていた。そこから少し離れた処にいた高城が、それと気付いて斜めに堤をかけ登るらしい。その気配もひどくのろのろと感じられた。高速度写真のように、女も高城も風景もゆるく動くようである。ふしぎな笑いを浮べたまま、宇治は両腕を組んだ姿勢で、視線をぼんやりと黒い銃口におとしていた。堤の上に登り切った高城の姿が、宇治の茫然とした視野の端を影絵のように動いて、拳銃を女に擬しながら急速にその方向に近づくらしい。女の全身が宇治の視線の中で凝然と収縮する。――
銃口から突然烈しい光箭がほとばしって、その瞬間宇治は左胸部に灼けつくような熱い衝撃を感じた。彼は両腕でその箇所を守るように押えながらまっすぐ倒れ、そして斜面の草々を分けながら荒々しく堤の下に転がり落ちた。
頭を下にしたまま彼は苦痛に耐え、薄く瞼を開いていた。彼は磧を、磧のむこうに流れる仄白い河明りを、力無い瞳で眺めていた。ひどく胸が苦しい。どんな姿勢でいるのか自分でも判らない。水筒がずれて腹のあたりを押しているらしい。とうとう此のウィスキイも半分以上残してしまった。