Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

そして五郎に報告した。五郎は笑いながら言った。

「お前があけたんだろう」

「冗談でしょう」

福も笑いながら答えた。

「自然にあいたんです」

「それ、飲めるのかい?」

「ええ、原料はたしか芋です。水で割れば多分飲めますよ」

「そうか。飲みに行くか」

五郎は福兵長と、興梠という酒好きの二等兵曹をつれて、しばしば宿舎を抜け出て、酒宴を開いた。アルミの食器に一号アルコールを半分ほど入れ、マッチで火をつける。アルコールの毒性は上澄みにあるというのが、宮崎県出身の興梠二曹の説で、いい加減燃えると吹き消し、水で割る。味もにおいもない。ただ酔うだけである。肴が必要だったが、そこはうまいこと烹炊所にわたりをつけて、缶詰などをもらって来る。味はないが、意外に強く、すぐに酔いが廻った。

もちろん航空用のアルコールを飲むのは、不逞の仕業であり、見付かれば懲罰ものであった。だから宴は夜に限られていた。

〈あれはどこに行ったのか?〉

十本ばかりの木がばらばら生えているだけで、昔の松林の面影はほとんどない。その木に交って、白い大きな花をぶら下げた、南国風の木がある。その花の名は忘れたが、色や形にはたしかに見覚えがあった。