Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
ただその暗い海に身をひたし、抱かれたいという気持だけがあった。興梠は投げ出すように言った。
「じゃ行きな。海行かば水漬く屍、てなことにはなるなよ」
「大丈夫ですよ」
福は五郎に白い歯を見せて笑った。それからよろよろと砂浜に降り、海へ入った。彼もつづいて足を水に踏み入れた。
しばらく海の浅さがつづき、急に深くなった。五郎は平泳で前進し、そして背泳ぎに移り、やがて手足の動きを中止した。顔だけを空気にさらし、全身から力を抜く。水はつめたくなかった。生ぬるくねっとりとして、彼の体を包んだ。彼は『母胎』という言葉に似たものを感じながら、十分間ほどゆらゆらと海月のようにただよっていた。空には雲がなく、一面に星が光っていた。福がどこにいるか、もう判らなかった。
〈何ならここで死んでもいいな〉
倦怠と虚脱感がそこまで進んだ時、五郎は突然ある危険を感じて、姿勢を元に戻した。岬や岩のたたずまいから、十分間の中に、体がいくらか潮に流されていることを知った。五郎は振切るようにしぶきを立て、元の岸に向って泳いだ。やがて足が砂についた。水をかき分けながら浜へ上る。岩かげから興梠の声がした。