Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
鏡台の木質部にも、木目はきわ立っていた。潮風は家の中にまで吹き入るのか。鏡には布がかけてあった。布からはみ出た鏡面も、塩分で黒く腐蝕していた。
〈何が写るか判らない!〉
その恐怖で、五郎にはとてもその布をめくる勇気が出ない。鏡台には抽斗がついている。五郎はそれを引出した。
毛髪がへばりついた鬢付。貝殻が数個。それにコッペパン一つ。彼はそのコッペパンを食べるつもりで手にとったが、古くて皮がこちこちになっている。口に持って行ったが、歯が立たない。余儀なく元に戻す。貝殻は巻貝や小安貝のたぐい。それを一つ一つ調べていると、裏口から突然足音が入って来た。
「なにしてんだい!」
ぎくりとして振り返ると、先ほどの洗濯女が土間につっ立っていた。もう半分ほど眼がつり上っている。五郎は返事に窮して黙っていた。すると女は跣のまま簀子の上にあがって来た。
「小探ししているな。言わないでもわかってるぞ!」
女は立ったまま、両手で五郎を引きずり倒した。女の腕は太かった。筋肉がもりもりして、男の腕のようだ。五郎は押えつけられながら、あやまった。
「許して下さい。許して下さい。もう絶対に小探しはしませんから」