Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
浪は荒れていた。流れ込む淡水と海水が混り合って、三角波を立てている。五郎は小学生で、お下りの合羽を着ていた。早く登校しなければならないが、誰が水死したのか知りたくて、人だかりの中をうろうろしていた。引揚作業の男たちは、裸のもいたし、黒合羽のもいた。雨かしぶきか判らないが、水滴が絶え間なく飛んで来て、顔を濡らす。
「子供たちゃあ邪魔だから、あっちいけ!」
「ごそごそしていると蹴飛ばすぞ!」
皆気が立っているので、言葉も動作も荒い。そう罵られても放っとけない気がして、五郎はあちこちに頭や肩をぶつけながら、うろうろしていた。水死人が女であることは、作業の男たちの会話で判っていた。
〈お母さんじゃなかろうか〉
五郎はしきりにそんなことを考えていた。しかし五郎の母は、彼が家を出る時、台所であとかたづけをしていた。五郎は家を出てまっすぐここに来たのだから、母である筈がない。やがて死体がひっかかったと見え、作業員の動作が急に慎重になる。綱が引かれる。綱の先にぶら下った死体が見える。浴衣を着ているのだが、岸壁や岩や浪にぶつかって切れ切れになり、海藻がまつわりついたように見える。