Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
二人兄弟で下宿しとんなさる」
「ああ。下宿屋か。それなら大したことはないな」
赤い氷を彼は口に入れた。さっきのにらみ合いは、二十秒ぐらいであった。松井教授のもそれくらいだっただろう。松井教授はあの時、あの窓に何を見たのか。もうそれを知るすべはない。ただその結果、五郎はきたないものを踏んづけた気分になり、きりきり舞いをして、落第した。
「お婆さん。ここら空襲を受けなかったのかい」
彼はまた呼びかけた。
「あの家は、昔から下宿屋だったのかい?」
「はい。大水が出ましたもんですけん。そるからあとはずっと変りましたたい」
「大水? 戦前に?」
「いいえ。それがあんた、戦後の昭和――」
「二十八年よ」
少女が補足した。
「六月二十六日」
「ああ。六月です。夜、水がやって来ましたですたい。いや、水じゃなか。泥ですたい。阿蘇ん方で大雨が降って、よなを溶かして流れち来たんですたいなあ。材木やら何やらを乗せて、戸口にあたる。戸が破れち、泥水がおどり込むとですたい。あれよあれよという暇もなかった。戸が破れたと一緒に、もう畳が浮き始めたとですたい。うちはこの子ば抱いち、飯櫃といっしょに二階に這いあがりました。