Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
私は黙って腰を下して盃をあけた。矢張り言って悪かったなと後悔の気持が起って来た。私一人でもいい、暫く飲んで行こうかと私は思った。女が盃に酒を満たしながら言った。
「あの方貴方のお友達?」
「そうだ」
「何だか恐そうな人ね」
「そうでも無いんだよ。根はいい人なんだよ」
「今、喧嘩なさったの」
「喧嘩なんかするものか」と私が笑った。「議論していたんだよ」
一寸間を置いて女が言った。
「あの方、貴方を嫌いだと言ったわ」
私はぎょっとして女の顔をみた。
「あんまり貴方はくどいんですって」
見る見るうちに私の顔色が変って行くのが自分でもはっきり判った。私は思わず大きな声を出した。
「それを僕にことづけろとあの人が言ったんだな!」
「そう」女は哀れむような目付で私を見おろした。押え切れぬ激情が胸をついて湧き起った。私はやっとそれに堪えた。
暫くの後、私はその女を相手にして、つまらぬことをしゃべりながら酒を飲んでいた。どうにもやり切れない気持をはらいのけようとして、私は空虚な饒舌を弄していた。流行らない店と見えてお客は私一人で、誰一人として入って来なかった。女は狐のような顔をくしゃくしゃにして私の冗談に笑いこけた。