Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

自然だけが、美しかった。人間が造ったものの廃墟は、いじけて醜かった。草原に腰をおろした。男も、此の前と同じく、並んですわった。

「見張も、大変だね」

「大したことはないですよ」

「何だか元気がないようだけれど、身体の具合でも悪いのかね」

「疲れているのですよ」

男は、静かな湾内をぐるぐるっと指さして見せた。

「此の湾内に、潜水艦が三隻いるのです」

「ああ、電報で見た。味方のではないか」

「兵曹は通信科ですか。味方のか敵のかはっきりしないんです」

「味方識別をつけ忘れていた、と言うらしいのだよ」

「そうですか」

男は、暫くの沈黙の後、私に聞いた。

「通信科なら――特攻隊、あれはどうなっているのですか」

「てんで駄目だよ。皆、グラマンに食われてしまうらしい」

「やはり駄目ですか」

溜息をついた。そして、

「特攻隊、あれはひどいですね」

「ひどいって、何が?」

男は暫く黙っていた。そして、一語一語おさえつけるように、

「木曽義仲、あれが牛に松明つけて敵陣に放したでしょう。あの牛、特攻隊があれですね。それを思うと、私はほんとに特攻隊の若者が可哀そうですよ。何にも知らずに死んで行く――」